2010年12月18日土曜日

キリイシさんのこと

アマゾンでCDを選んでいたら、オススメに「キリイシ」との文字が。
切石智子さんの著作集か…と思いつつ、嫁にリンクを送ったら、
「知ってた?」とリンクを返信してきた。
クリックしてみると、彼女の訃報だった。2003年… 
全く知らなかった。

***
とある事務所に就職したのが1993年の夏の終わり。
Yさんという原始人みたいな面構えの先輩がいた。
直属の上司ではなかったが、一番下っ端の俺は仕事の教えを乞うことも多かったが、
非常に早口で、聞き返すと、イラッとした表情で、口癖「要は、」を枕に、しかし親切に教授してくれた。
彼はは殆ど帰宅せず、半ば住み込みのような状態で、正直ややアレで。が後輩としては言えずw
よく言えば、仕事一筋で、その仕事量は半端なかったし、信頼も厚い人だった。
上司には「Yちゃん仕事とバイクばっかりで、童貞なんだよな」とおちょくられていた。

冬、終電が過ぎた頃に、事務所のドアが開いたと思ったら、
女の子が関西訛りで「こんばんは~!」と入ってきた。
Yさんは慌てて帰り支度をしつつ、早口で「キリエシのキリイシさん」と紹介してくれた。
一瞬戸惑ったが、「切り絵師の切石さん」とどうにか脳内変換した。
見た目は小さくてカワイイ感じだけど「トンガッてる」雰囲気を醸していた。
「目力」も半端なかったな。顔はニコニコしてても、目は強い光を放っていた。
上司は「Yちゃん、腰いわすなよ」と冷やかしつつも、後輩に彼女ができたことを喜んでいるようだった。
その後も深夜に度々「Yちゃ~ん」と言いながら迎えに来ていた。

Yさんからは度々彼女の(自慢)話を聞かされた。
アコーディオンを弾いてるとか、ムーンライダースが好き、ミュージシャンの友達が沢山、アラーキーに写真撮られているとか…。
しかし数ヶ月たって、話に出てこなくなった。聞くわけにはいかなかったが、また事務所で寝起きをする様になっていたから、察したw

世紀末、音楽誌でレビューを読んでいたら、文責に「切石智子」とあった。
珍しい苗字だし、きっとあのキリエシのキリイシさんだよなぁと思いつつ、よくわかんないけど、あの人なら文章も書けるんだろうなぁと勝手に納得していた。
***

今日、本が届いた。本文読むのは年明けかな…。
一応Yさんの名前を探したが、一欠片も見つからなかったので、まぁそういうことでしょうw
表1の目力がたまらない。帯には岡田徹の推薦文。
この雰囲気、Y さんににてるんだよなぁ…w

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