2011年8月11日木曜日

シュワキ マセリ


最近末娘がピアノに興味があるようで、
一日一回は椅子に座ってピアノを鳴らしている。
手を広げると丁度5度になるので、
左右ともパーでピアノを叩くといい具合に
テンションコードになってて、なかなか笑える。

今夜もレロレロ弾いていたので、隣に腰掛け
追いかけっこ(オレが弾く音とリズムを
娘が真似する)して遊んだ。
まだえびせんみたいな指だけど、真剣な顔をして
ヨダレをたらしハァハァいいながら追いかけてきた。
風呂に呼ばれて終わったが、満足そうだった。明日もやるか。

そういえばこの子は二歳半で
ナイトメアビフォアクリスマスの最初の曲を
姉たちと歌っていたなぁ などと思いつつ、
オレが最初に覚えた歌ってなんだっけ?と思いを巡らした。

幼稚園や保育園に行っていなかったので、
音楽は専ら父親のレコードなどとテレビ・ラジオからだったが、
表題の曲がかなり小さい頃の記憶として残っている。
曲名は賛美歌の「もろびと こぞりて」。
クリスチャンではないけど、賛美歌集のソノシートブックがあり、
ソノシートに印刷された蝋燭の写真が綺麗だったので
よくかけて貰っていた。

本当は「主は 来ませり」なんだけど、意味などわからず、
ただただ語感が面白かったんだろうな。
サビをこう歌いながら絵を描いたりして遊んでいた。
「しゅわき ませりー しゅうわっきーまっせぇりー
しゅうわぁあ~しゅわぁああっきーまーせーりー」

娘達も、いつも車中でかけているフェラクティの曲に合わせて
「あっぎゅめーん あーぎゅめん」とか「カチャ!カチャ!」って
一緒に歌っているけど、やっぱり語感が面白いみたい。
こういう所を大事にしてやらんといかんな、と
焼酎「岩窟王」をやりつつ思う晩夏の深夜。

2005年09月14日

2011年8月9日火曜日

喫煙室

病院の喫煙室に向かって歩いていると、 静止しているパジャマ姿の老人に呼び止められた。


「あのぅ、すみません。一本、めぐんでいただけませんか?」
風体から察するに、八十歳前後のお方と見受けた。 

院内では健康保護法に準じ、数年前から煙草の販売を止め、 
近所にあったコンビニは今年潰れてしまったため、 
煙草を入手する為には見舞いに頼むか、1キロ程離れたコンビニに行くしかない。 

恵んであげるのは全く抵抗がない。 
だがしかし、このご老人、肺を患っての入院だとしたら、
むことは道義的にいかがなものだろう? 
いやぁでも通りすがりだし、まあいいじゃん、てな勢いで渡した。 

私の吸っている煙草は、いわゆるオンナ煙草、ピアニッシモ1mg。 

顔が「黄金バット」にソックリなこのご老人にとっては 
物足りないどころか、ココアシガレット並みのフェイクにしか 感じないだろう、と

逆に恐縮しつつ、手渡した。 勧め、ライターを着けると、煙草を挟んだ指の爪が真っ白だった。
しかし、なぜかコソコソしてる。 
「家族に見つかると大騒ぎになるんで」 
やっぱヤバいんじゃ?と念を押すと、なんか、はにかんでた。 

爺さんは、実に旨そうにふかしながら私を煽て上げた。 

「本当に善い方に出会えて幸せです!貴方に後光が射していました!
おぉこれはメントールですな!丁度良かった!うまい!  
ちょっとした事故でこんなところに幽閉されましてー」でも乞食と一緒ですね…恵んでもらうなんて~」
一々敬語で。 

嬉しそうに話してくるのだが、 
私はほんの一服程度のつもりだったので、適当に相づち打っていると、 
「ワタシのことはおかまいなく! 恵んでいただいたコレを大事に吸っていきますんで」 

別れ際にもう一本渡して部屋を離れようとすると、 
再び深い深いお辞儀を。

逆に申し訳ない気持ちになりながら、その場を離れた。



2007年06月04日)